会議をサポートするAIツールや近未来型の「AI会議室」をご紹介!
前回の記事では、AIが私たちの働き方をどのように変えていくかに注目しました。AIは決して私たちと対峙するものではなく、私たちの働き方に新たな可能性を与えてくれるものです。その可能性の一つとして挙げられるのが、会議へのAIの導入です。
私たちは日々さまざまな会議を開催し、ビジネスをより良い方向に導こうと活発に議論をしています。コロナ禍により無駄な会議をなくしていこうという動きは見られたものの、会議自体がなくなることはこの先もないでしょう。そんな会議の場に、AIは今後どのように関わっていくのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
更新日:2024年8月1日
- 【目次】
- [前回の記事:AIは人の働き方をどう変えるか?]の おさらいは、こちらから >
- 広まりつつある議事録の自動化
- 会議前後や会議中に発生する課題もAIによって解決できる
- 会議室そのものがAI空間に!近未来の会議室とは?
- 会議室だけにとどまらない未来のオフィスとは?
- AIによって対面のコミュニケーションにも変化が生まれる
広まりつつある議事録の自動化
会議では記録のため、そして出席していない人の確認のために議事録を作らなければなりません。しかし、会議の内容を録音し、文字起こしをし、内容を整理するのにはかなりの時間が必要となります。そういった手間を軽減してくれるのが、AIによる議事録自動作成ツールです。文字起こしはもちろん、今やさまざまな機能が充実したAIツールがあります。
- AI議事録取れる君
- スマート書記
- いきなり議事録
AI議事録取れる君
AI議事録取れる君は、オンラインやオフラインの会議でも使用できる議事録自動作成ツールです。ボイスレコーダーの音声を取り込んで文字起こしすることもできます。高性能のAIエンジンによりほぼリアルタイムで文字起こしを実行し、句読点や開業、疑問符なども自動的に付けてくれます。
特徴は、会議の内容を自動的に要約する「AI自動要約」の機能です。小見出しと箇条書きで会議の内容を要約してくれます。会議の出席者による要約や文字起こしの修正も共同で編集できるため、確認作業もスムーズに進められます。一般的なAI議事録自動作成ツールが月額2~3万円かかるところ、こちらは月額5,500円から利用できます(月10時間までの利用/2024年現在)。
スマート書記
議事録の作成、内容の要約にとどまらず、タスク整理もしてくれるのがスマート書記です。議事録作成の基本的な機能に加え、テキストだけでは伝えられない「会議の生の情報」を共有できます。それを実現しているのが、「タイムスタンプ」という機能です。文字起こしされたメモの重要な部分をクリックすることで、その部分の音声がピンポイントで聞けるようになります。文字では伝わらない声の雰囲気をピンポイントで確認することが可能です。
そのほか、会議中にその場でTODOリストを作成できるほか、決定事項を設定することもできます。
いきなり議事録
テキストだけでなく、会議動画を録画する機能も持っているのがいきなり議事録です。テキストから重要な部分だけをハイライトにすることで、ダイジェスト版の動画を作成することも可能となっています。また、任意の単語を選んでその部分に関する動画を確認できるほか、動画に対して質問することで動画内の情報などをもとにAIが回答してくれる機能もあります。
ダイジェスト動画を作成する際に、別の動画編集ソフトは必要ありません。ツール内で全て完結することが魅力の1つと言えるでしょう。
会議前後や会議中に発生する課題もAIによって解決できる
会議を行う前には、資料の準備や参加者の確認がつきものです。また開催したとしても本当に議論しなければならない課題から話題がそれてしまうこともあります。そのほか、会議に遅刻した場合は議論の内容についていけなかったり、参加できなかった会議の内容を把握できなかったりなど、ビジネスパーソンであれば誰もが経験をしたことがあるのではないのでしょうか。そういった課題にもAIは解決策を提供しています。
AIツールの活用事例①
Microsoft社が提供しているツールにMicrosoft Copilotというものがあります。1つ目の機能として注目されるのは、リアルタイムでの会議の内容の要約です。要約を確認することで、例え会議に遅刻したとしても議事の内容を把握できます。また、何かしらの事項に会議の参加者が賛成したか反対したかをAIに尋ねることができる機能もあります。会議を欠席した場合でも、会議について振り返ったり要約を確認できる機能もあるため、社内で話題から取り残されることもありません。
AIツールの活用事例②
他にも、会議がうまく進んでいない場合にも、Microsoft Copilotは手助けしてくれます。会議を前に進めるためにすべき質問事項や、まだ解決に至っていない課題についてAIに尋ね、応えてくれる機能もあるのです。まさに、AIが会議の司会者の役割を担っていると言えるでしょう。
AIツールの活用事例③
さらに、自分のプレゼンを指導してくれるコーチのような役割もAIは担います。スピーカーコーチという機能では、スピーチの内容を分析し、声の調子や速さ、言葉の繰り返しなどを指摘してくれます。
これまでのAIは会議をサポートする存在でしかありませんでした。しかし、今やまるで秘書のような役割を担うようにまで進化しています。今はあくまで一つのソフトとして機能しているAIですが、近い将来高機能のロボットができ、コンシェルジュのような形で会議を進行していく未来もあるかもしれません。ロボットまではいかなくても、今では会議室そのものがAIになっているという事例もあります。
会議室そのものがAI空間に!近未来の会議室とは?
会議室そのものにAIが導入されているケースもあります。まるでドラマやアニメのような空間が現実のものとなりつつあるのです。
ITサービス企業のBIPROGYとオフィスに関するソリューションを提供しているイトーキは、2015年11月に「人工知能を融合した会議支援空間」を発表しました。
参照:日本ユニシス株式会社、株式会社イトーキプレスリリースより
その会議室の姿は、まさに近未来そのもの。壁とテーブルに情報を映し出しながら会議の進行をサポートします。大きな特徴として挙げられるのは、会議の参加者の発言をリアルタイムでAIが聞き取り、壁に単語に分解した状態で映し出すこと。それぞれの単語について重要なワードについて自動的に判断し、テーブル上に表示するため、会議のポイントが分かりやすくなります。
キーワードについては、キーワードの関連情報をAIが抽出。関連情報はニュースや研究論文などからAIが選ぶため、キーワードをもとにさらに議論を発展させることが可能です。
参照:日本ユニシス株式会社、株式会社イトーキプレスリリースより
会議の参加者はメガネ型の端末を装着します。端末のディスプレイには、会議で登場した分からない単語について解説する機能が備わっており、単語に関する解説をAIが担うことでよりスピーディーに会議を進行することができるのです。
電通もAIを活用した会議室「ブレスポ会議室」を展開しています。ここまでご紹介してきた事例は「効率化」というのがポイントになっていますが、ブレスポ会議室は「アイデアを生み出すための会議室」というのがコンセプトになっています。
参照:電通報より
会議の参加者は、初めにヘッドセットを装着したうえで着席します。その後、アイデア出しをしたいテーマを選び、参加者の「お願いします」という掛け声で会議がスタート。アイデアを発言する場合は「ブレスポ」と発言することで発言権を得ます。
話したアイデアはAIの音声認識で自動的に画面に映し出されます。アイデアについては、他の参加者がアイデアについて自分の考えを発表。反応がポジティブなものかネガティブなものかAIが判断し、ポジティブな場合にはアイデアの発言者に加点されるというものです。逆にネガティブな場合は、ネガティブな意見を発表した参加者が減点されます。これは、「相手を否定しない」というブレスポ会議の考えに則った仕組みです。
参照:電通報より
ブレスポの語源はブレインストーミング・スポーツとのことですが、まさに会議がスポーツのように進行しています。AIは会議をサポートするという役割だけでなく、会議を白熱させる役割も担うことができるのです。
会議室だけにとどまらない未来のオフィスとは?
ここまで、AIがいかに会議室を変えていくかを見ていきました。しかし、今やAIの活用は会議室だけにとどまらず、オフィス全体にも広がっています。
勤怠管理の変化
例えば、勤怠管理は1つの例として挙げられるでしょう。オフィスにAI搭載のカメラを導入することで、リアルタイムで社員のオフィス内の動きを記録することができるようになります。AIが社員の顔を認識し、出社と退社の時間を把握します。
このように見ると、まるで監視をされているようなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、より適切な労働環境を作ることに役立つといえるでしょう。社員が手入力で出退勤を記録する場合、本当は残業しているものの本来の勤務時間よりも短く申告するということも起こり得るケースです。しかし、AIカメラを導入すれば、そのようなごまかしはできなくなります。社員の健康や命を守ることにつながるのです。
ペーパーレスの促進
ペーパーレス化を進める企業は多いですが、その際に課題になるのは溜まりに溜まった書類のデータ化です。AIツールの中には書類の文字を認識し、データ化するものもあります。AIは学習してその能力を高めるものですので、文字の認識のレベルも作業を進めるごとに進化していきます。ペーパーレス化を進めようと考えている企業にとって、AIは大きな助けとなるでしょう。
チャットボットによる問い合わせ
最後に、今では多くの企業が導入している問い合わせ用のチャットボットです。多くの顧客を抱える企業の場合、日々膨大な問い合わせがあることでしょう。その問い合わせを全て人が対応していた場合、人件費も莫大なものになります。
AIチャットボットは24時間365日対応してくれるうえに、人件費がかかりません。また質問内容を学習し、より良い回答を顧客に提供してくれます。最近では、社員の質問に対し回答してくれるチャットボットも登場しています。
AIによって対面のコミュニケーションにも変化が生まれる
ここまで、AIがどのように会議を変えていくかについて見ていきました。社会情勢の変化により、オンライン会議が以前よりも普及しましたが、対面でなければ伝わらないニュアンスがますます重要になり、対面での会議が、プレミアム化されていくことでしょう。
今回ご紹介してきましたAIを活用することで、いままでは手間と感じていた諸問題も、簡単に解消させるかもしれません。AIはオンラインの会議はもちろん、対面での会議についてもサポートし、また議論を活発化させる力を持っています。会議をサポートするAIはこれからどのように進化を遂げていくのか。その進化に注目し、AIを活用しながら、よりビジネスを発展させていきましょう。