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組織が多様化する“個”を重視する“ピープルアナリティクス”とは

「飲みニュケーション?ダサい、ダサい。だったら早く帰りたい」「タバコミュニケーション?喫煙しないし」「イマドキ、フル出社しているの?」等、働き方においても集団行動から脱却し、いわゆる“個”を重視する人が増えてきています。会社の方針や姿勢に“個”が合わせるのではなく、“個”の多様性に会社の姿勢を合わせるような風潮さえありますよね。

それに伴い、会社や組織単位でも“個”となる従業員のことをより詳しく理解しておかなければならないようになりました。企業という雇用側(買い手)と“個”となる労働側(売り手)という構造で捉えるなら、現在は完全に売り手市場ですよね。雇用側からすれば、何か落ち度があればすぐ転職されてしまいますし、実際に“個”の転職が簡単にできてしまう世の中です。
だからといって企業側は常に“個”の顔色を窺っていなければならないわけでもございません。そんなことをしていては、それこそ労働社会や組織が破綻してしまいます。

そこで登場したのがピープルアナリティクス(People Analytics)です。ピープルアナリティクスは“個”となる従業員の属性を理解することで採用や評価、異動等を最適化するための概念であり、ひいては従業員満足度と生産性を上げる目的まであります。

更新日:2024年6月1日

ピープルアナリティクスとは?

もう少し詳しく話します。ピープルアナリティクスとは、従業員の属性(年齢、性別、社歴、役職、居住地、年収、保有資格、家族構成など)や行動データ(職務経歴、プロジェクト経歴、従事してきた業務内容など)を収集&分析&検証することで、指示する業務内容や満足度を最適化するだけでなく、配属先部署の決定や人間関係の良好性、人事評価まで最適化します。さらに、ピープルアナリティクスで得た従業員インサイト(洞察、心理動態)に合わせて採用活動や採用軸に活かすことができるようになります。

昨今の働き方変容に伴って、人事側においてもメンター制度を設けたり面談を頻繁に行ったりしていますが、このようなミクロマネジメント以外にも、ピープルアナリティクスのような一種のマクロマネジメントも重視される世の中になってきているわけですね。

ピープルアナリティクスの具体的なメリットは?

例えば、あなたが人事部の担当だったとします。社員から「退職したい」と言われたらどうしますか?「飲みに行きましょう!」「給料上げるよう交渉しますから」「違う部署ならどうですか?」「理由は何ですか?解決できるよう人事から会社に働きかけます」と言いますか?全部正解かもしれませんが、全部不正解と言えるかもしれません。なぜなら社員が退職したいと言ってきた時点で既に手遅れです。何かを変えてもらいたいと思う社員であれば退職を伝える前に何かしらの要望やサインはあるはずですので、「退職したい」と申し出を受けた時点でもうどうすることもできないのです。

一方で、退職の申し出を受けた会社側の動きも考えてみましょう。役職者同士が膝を突き合わせて、「社員が辞めてしまうのはなぜか」「そもそもあの上司はどうだったんだ」「会社のこういう制度が悪いのではないか」と議論を繰り返し、誰かのせいや会社のせいにしたところで「それなら仕方なかったね」という妙な納得感を得て終わるだけです。これでは同じことを繰り返すだけです。

そうならないために、常日頃から事実を科学的に捉え、社員ひとりひとりの属性やキャラクター、スキル、モチベーション要因を取り入れた分析を行っておくことがピープルアナリティクスです。こういった分析をおこなっておくことで、配属先の最適化だけでなく、異動時の最適化や評価軸の最適化、人間関係、上司との相性等、常に公正な解決策や人事を実現することができるので、そもそも退職者抑止に繋がります。また、たとえ退職者が出た場合であっても、その内容でさえ統計分析の中に組み込むことで、今後の最適化に向けた精度が上がるという仕組みが成立します。従業員の満足度が高いことや退職率が低いことは、原則良い会社である証拠ですし、ステークホルダーへのウケも良く、社会的地位の高い会社になりやすいです。

さらに、ピープルアナリティクスは既に勤務している従業員にだけ発揮するものではありません。活躍している社員の属性やレジュメ、採用面接当時の様子をデータ化しておくことで、入社希望者の中から共通している点を見出し、将来活躍しそうな人材の採用に繋がるかもしれません。ピープルアナリティクスの分析結果とSPI(Synthetic Personality Inventory:総合適性検査)の実施結果を照合することで期待値の高い人を発掘することだってできます。

こうして、ピープルアナリティクスは既存従業員の人事だけでなく、これからの採用人事にも大きく貢献できるのです。

タレントマネジメントとは違うの?

ピープルアナリティクスと類似した概念で“タレントマネジメント”という言葉があります。よく「タレントマネジメントとピープルアナリティクスはどう違うの?」という疑問が生じがちですが、少し意味合いが異なります。どちらも従業員のペルソナを管理するという点では同じなのですが、タレントマネジメントとは、その名の通り従業員のタレント(talent:能力)をマネジメント(management:管理)するためスキルや技能周りを中心に人事管理するイメージです。対してピープルマネジメントは従業員の属性やデモグラフィック(性別、年齢、居住地域、所得、業務内容等)まで管理するイメージです。もちろん私生活にまで管理が及ぶわけではございませんが、人間性の部分も考慮するのがピープルマネジメントという印象ですね。“能力”と一言で捉えても、タレントマネジメントは可視性の高い定量的な技能が中心になるため、営業力や業務スピード、勤怠姿勢等に関してはやはりピープルマネジメントとして管理することになるでしょう。とはいえ、いずれも明確な定義があるわけではございませんし、概念にすぎませんので、先のようなイメージの違いがあるということだけ理解しておけば良いと思います。

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タレントマネジメントとのコンボで最強人事に

前述のようにタレントマネジメントとピープルアナリティクスには従業員の能力志向か属性志向かの違いがありますが、どちらも加味すれば従業員の人事管理としては最適な方法になります。タレントマネジメントも加味したピープルマネジメントを実行すれば良いだけかもしれませんが、まずは従業員の管理方法から見直してみてはいかがでしょうか。

従業員の属性に合わせて配属部署を横串に捉え、会合等を開いても面白いと思います。例えば、ある会社では「働くパパさん同士の交流会」と称して子どもを持つ男性従業員の有志を集め、会食形式のグループインタビューを実施したり、普段接点のない部署間でチームを組みワークショップを行ったりしているそうです。これにより社内交流を深め、従業員満足度だけでなく帰属意識を高めることにも成功しているとのことで、是非ご参考ください。

社内交流会や会食パーティー等、華やかな会合をご計画なら東急グループのミーティングスペースAPにご相談ください。ご希望のイメージをカタチにするお手伝いが可能です。

“個”の多様化時代において企業に求められるもの

新型ウィルスの収束後であっても、働き方の変容は続いています。テレワークによる勤務形態もスタンダード化され、また大手企業であっても、業務委託という形態で個人事業主と取引するケースが増え、与信管理に関しても緩和されている傾向を感じられます。そういった背景や潮流もあることで、元来より能力の高い社員は独立したりフリーランスになったりする傾向も目立ちました。特にIT業界においては、エンジニアはプロジェクト単位で企業と契約し、SES (System Engineering Service:システム開発の業務委託)業も活発化しました。“個”の働き方が多様化してきたのです。個人受託することで、能力の高い人は時間を効率的に使いつつ、今まで対応していた法人価格がそのまま個人給与化するようになったのです。つまり、お金も自分の時間も最大化する働き方ができるようになりつつあります。

能力の高い従業員がここに魅力を感じ始めたら、企業側としてはなかなか退職を引き止めづらくなってしまいます。そのため企業としては、お金と時間以外においても従業員にとって魅力的でなければならなくなりました。

だからこそ、ピープルアナリティクスによって従業員がどこにモチベーションを抱いているのか分析し、多様化する“個”を把握することで、これからの時代を生き抜いていく企業体を形成していくべきではないでしょうか。

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